???7人の作家が描き出す7通りの恋模様をオムニバス形式でまとめた、短編小説集。著者として名を連ねるのは、江國香織、角田光代、井上荒野、谷村志穂、藤野千夜、ミーヨン、唯川恵といった、すでに恋愛小説の名手と呼ばれる作家から気鋭の若手まで、幅広い面々だ。かすかな恋の始まりや別れの兆しなど、誰もが経験するような男女の機微を軸に、それぞれの持ち味を多彩に発揮している。 ???危うい関係を謳歌していた女性の悲しさを砂糖菓子にたとえた「ドラジェ」(江國香織)、学生時代の女友だちとの関係を男性遍歴と重ねた「そしてふたたび、私たちのこと」(角田光代)、女性画家と謎めいた客との出会いを映像的な描写を交えて語る「くらげ」(ミーヨン)、そしてこれまでも数々の揺れる女性心理を描いてきた唯川恵が、奇妙な4角関係から始まった男女の顛末をつづる「手のひらの雪のように」など、一口に恋愛小説といえども、そこに記される恋の形はさまざまである。 ???すべての作品に共通するのは、主人公が女性ということだ。気のおけない女友だちがいれば「一生恋人なんていなくたっていいんじゃないか」という角田と、その逆に、ふとした拍子で離れていく女同士の友情のもろさを描いた谷村。そして、女性が年齢を重ねることの意味を問う江國の作品など、恋愛という側面以外からも、考えさせられる部分は多い。個性豊かな作家たちの競演により、甘いだけでなく、人生のほろ苦さをも感じさせる恋愛小説集となっている。(砂塚洋美)
恋愛。
江國香織、角田光代、井上荒野、谷村志穂、藤野千夜、ミーヨン、唯川恵の7人による恋愛小説。続きが読みたくなるものもあった。個人的に唯川恵の『手のひらの雪のように』が一番好き。「1年たったら許してあげる。そんな無謀な約束を口にした時から、もう、結論は出ていたのだ。亮次の気持ちがどの程度のものかと計ろうとした瞬間に、もうこの恋は終わっていたのだ。」 一見冷静な判断のようでいて、見える形の駆け引きというか、打算的な態度や行動がお互いを傷つけた。1年間距離を置いて一人で答えを見つけるのではなく、ぶつかって、話し合って、ケンカして、二人で答えを見つけなければ成らなかったのだと思う。
そして再び、わたしたちのこと
特に、「そして再び、わたしたちのこと」角田光代が印象的だった。 高校生のときからずっと一緒で、36歳になった今も一緒にいる3人。一番美人のワカコは変な人にばかり惹かれ不倫ばかり。それを見兼ねた友人はその気持ちをわかろうと自分も不倫に走る。3人集まれば愚痴大会。そんななか「私」だけはまともな恋愛をしようとする。「恋愛というのが、相手のことをわかりたい、肯定したい、受け入れたい、あらゆる感情をともに味わいたい、できうるならばずっと一緒にいたいと願うことならば、私たち3人の共有している感情はそれに近い」女どうしっていろいろあるけど、こんな関係を築けられたらいいな。
たくましい彼女たち
角田さんの短編はおもしろい。レコレコのも好きだけど。『そしてふたたび、私たちのこと』はほんとうに、よい。 三人の中でいちばん美人だけどなぜだかモテない、かなりの年輩や妻子ある男とばかりつきあうワカコ。いちばんモテるが、オタク好きで、いつからかワカコの不毛な恋愛に気をもんでばかりいるユリエ。ワカコよりはモテて、いちばんまっとうな恋愛をする“わたし”。“わたし”の視点で進行していくこの物語は、この三人が高校で出会い、現在36に至るまでの話である。恋愛というよりは、この三人の関係、いくつになってもしょっちゅう連れ立って遊んだり、あきもせず互いの恋愛に文句をたれながら酒を飲んだりするところにひかれるのだとおもう。仲間といて楽しいっていうのはかけがえのないことで、恋人なんていらねぇぜ、へっ、とさえおもえたりもする、そのときは。 仲間に会いたくなってきた。
角川春樹事務所
いつか記憶からこぼれおちるとしても 思いわずらうことなく愉しく生きよ
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